コーヒー豆の保存方法とおしゃれな保存容器
珈琲豆はどの様にしたら保存状態が最大になるのか?
自家焙煎珈琲豆の専門店をしていて、毎日のように聞かれることの一つに「コーヒー豆の保存はどうしたらいいのか?」という事があります。
結論からいうと、①キャニスター等にしっかりと密閉保存して、②冷暗所に置く。。。以上です。。。と、これでは面白みがないので、なぜそのようにしたらいいのか?という事を解説していきます。
長い説明になるので、読む時間がない方は下記の事を実施して下さるだけで大丈夫です。
下の写真にあるように、珈琲豆が入っているアルミ袋ごと、100均等で売っている大きめの密閉容器に入れればそれで十分です。
アルミ袋の口は、しっかりと閉めて空気を追い出してください。これで二重に密閉されているので、このまま戸棚(冷暗所)に保管すればOKです。これ以上に珈琲の風味を最大化させて保存する方法はありません。
後は、なるべく早く飲み切ってしまう事です。できれば一か月以内に。無理でしたら、このまま冷凍庫で保管してください。
冷凍庫に入れた場合の使用方法は以下のブログを参考にしてください。
これでは、物足りないという方向けに、詳しく保存の原理を解説していきます。(^^♪
珈琲豆が嫌う4つの要素(なぜ珈琲は痛むのか?)
珈琲豆を劣化させる要素は4つあります。優先的に避けなければならない物から順に並べると、①しっけ ②空気 ③高温 ④日光です
順番に説明していきます。
①コーヒー豆は湿度が一番嫌い
昔、冷凍庫に入れていたコーヒー豆を常温で放置して、そのまま一時間ほど忘れていたことがあります。
好奇心でそれをドリップして飲んだのですが、言葉に出来ないくらい不味かったです。湿ってしまったコーヒー豆は救いようがありません。”(-“”-)”
珈琲豆は顕微鏡で見るとハニカム構造の多孔質になっており、周囲の匂いと湿気を思う存分吸収してくれます。よって、保存するときは湿気と匂いの発する物を遠ざけましょう。
冷蔵庫に珈琲豆を保存している方がいますが、実は冷蔵庫は湿気と匂いの宝庫です。保存する場所としては一番避けたいところです。冷蔵庫に入れるなら、しっかりと密閉して冷凍庫に入れた方がいいです。
②珈琲豆は空気に触れるとオイルが腐敗する
コーヒー豆は茶類と違って、植物性のオイルが沢山含まれています。それが空気にさらされると腐敗します。これを英語ではステインといいます(ステンレスはステインしない鉄という意味です)
良しにせよ悪しきにせよ、空気には酸素が沢山含まれています。ヒトも、物も、鉄も酸素によって錆びます。コーヒーオイルも酸素と結合して腐敗します。
これが酸化して酸っぱくなった珈琲を飲んで、おなかを壊す原因となるわけです。
③コーヒー豆は高温になると分子運動する
コーヒー豆に限らず、物質は温度が上がれば上がるほど、分子運動が盛んになります。盛んに動けば、分子構造が変わって化学的に別の物になります。
コーヒー豆は80℃以下の場合は、化学的に安定していると言われていますが、それでも時間の経過とともに劣化します。
化学変化は〔温度×時間〕で進みます。よって低温で保存した方が劣化しにくいです。
温度の目安としては15℃くらいが最適です。20℃以上になったら要注意です。日本国内なら、梅雨が明ける頃が冷蔵庫・冷凍庫等・低温庫に保管する目安となります。
④コーヒー豆は直射日光が嫌い
コーヒー豆をワザワザ直射日光に当てる人はいないと思います。コーヒーの袋も光を遮るために、透明でない事が多いです。
ですので、ここではあまり詳しく説明しませんが、コーヒーがポリフェノール豊富だからと言って、それを試すために日光浴させるのは止めましょう。
日光、つまり紫外線のことを少し書くと、紫外線を沢山浴びると、動植物は癌になったりして、命が脅かされます。
地球上では大気によって大半の紫外線がカットされます。プラス植物は体内でポリフェノールやビタミンCなどの抗酸化物質を作ることによって、紫外線の害を緩和しています。
珈琲にポリフェノールが沢山含まれているのは、紫外線から珈琲の実を守るためです。
人や動物はポリフェノールやビタミンCを食べる事によって、体の酸化を防ぎます。
次に、コーヒー豆の保存容器について詳しく書いていきます。
余談になりますが、当店では保存の事はあまり気にしていません。なぜなら、当方に来ているお客様はコーヒー豆が劣化してしまう前に飲み切ってしまうからです。
焙煎したての(古くても焙煎日から3日以内)コーヒー豆をお渡しして、3週間程度で飲み切る様に提言しています。
一番美味しく珈琲を飲む方法は長期保存など考えないで、さっさと飲んでしまう事です。
つまり・・・・
珈琲豆は、オイルがたっぷり含まれている時点で、生鮮食料品なわけです。
生肉や生魚を長期保存などしません。食べ残しを長期保存するときは冷凍庫に入れます。珈琲豆も飲み残しは冷凍あるのみです。
珈琲の豆と粉では劣化のスピードはかなり違う
珈琲豆の保存容器のことを書く前に、豆の状態と粉の状態の違いを説明します。
正直、粉の珈琲と豆の珈琲では、男と女、犬と猫ぐらい差があります。(要するに全く別物という事です。)
豆と粉では表面積が数十倍違うので、劣化のスピードも数倍早くなります。
ですので、豆と粉では全く別物として考える必要があります。
粉にしてしまったら、5日くらいしか風味が持ちません。一週間以上持ち越すなら即、冷凍庫に入れた方がよいです。
コーヒーを愛しているなら、ミルを買う事をお勧めします。
いろいろな珈琲豆の保存容器とその特徴
コーヒー豆の保存容器でパット思いつくまま列挙していくと
①アルミ袋(アルミ吸着のクラフト袋もこれに含まれる) ②チャック付きアルミ袋 ③ビンキャニスター ④アルミ缶 ⑤空気吸引付きキャニスター ⑥ボトル容器
これくらいで大体網羅していると思います。それぞれ、良い所、悪い所があるので、扱いやすい物を使ってください。
順番に説明していきます。
①アルミ袋の特徴
まず、小さく折りたためるので扱いやすいです。コーヒー豆が少なくなるにつれて、小さくなるので空気を追い出しやすいです。当店ではアルミ袋でお客様にお渡ししています。逆止弁の空気穴が開いているので、焼きたての珈琲豆だとガスを外に出して、外気を中に入れないという性能もあります。このまま大きめの密閉容器に入れれば保存は完璧です。
②チャック付きアルミ袋の特徴
チャックが付いていると便利ですよね。当方がネット通販で送るときはチャック付きアルミ袋で発送しています。空気も抜きやすいし、保存容器が他にない時でも、これに入っていればとりあえず安心です。
③ビン製キャニスター
当方がイベントや道の駅でホット珈琲を給ししているときは、これを使っています。口広なので、コーヒーを取り分けやすいのが一番の特徴です。頻繁に開け閉めするので、コーヒー豆が空気にふれやすくなり長期保存には向いていません。コーヒーの容量が少なくなるにつれて、隙間ができるのでさらに空気にされされます。短いスパンで使い切る場合にはこれで良いと思います。
④アルミ缶の特徴
昔、マスターがコーヒー豆を長期保存できる方法を模索していた時、アルミ缶に入れてみたことがあります。結果は、コーヒー豆はどんな方法にせよ長期保存が出来ないという結論に達しました。ですので、アルミ缶はどっちかというと、おしゃれを追求する場合に必要かなと思っています。
お客様からもすぎた珈琲のロゴ入りアルミ缶珈琲容器を作ってくれと言われています。
ビンとアルミ製の容器は同じような特徴をもっています。(アルミは劣化で溶け出すという方もいますが・・・)
プラスチック製と違うところは、容器の劣化によってマイクロプラスチックが溶け出さないことも挙げられます。
特に欧米の富裕層ではプラスチック製の物を避ける傾向がありますので、気になる方はガラスやホウロウ、セラミックで出来ている製品を選べばよいと思います。
⑤空気吸引付きキャニスターの性能
空気を外に追い出す機能が付いた、保存容器です。百貨店などの日用雑貨用品コーナーに行くと、色んな種類が置いてあります。空気を抜く作業がめんどくさいですが、保存の効果は期待できます。(アルミ袋をたたんでも同じだという意見もある…)
日用雑貨としても、おしゃれなので女性の台所用アイテムとして置くと、よいのではないでしょうか。
⑥ドリンクボトルに入れてみる
写真のドリンクボトルは一昨年くらいから流行っています。
デトックスウォーターを入れるのがデフォの使い方ですが、実は500ccの液体が入る容器は、シティローストのコーヒー豆200gがちょうど入る容積があります。
当方では幾人かのお客様には、こちらの容器で提供しています。口広なので、意外と扱いやすいです。
密閉度も高いので、このまま冷蔵庫や冷凍庫に入れても十分使用に耐えます。
ただ、コーヒー豆を使っていくと空気の容量が増えるので、どうしてもその分コーヒー豆が酸化してしまいます。
この容器の用途はリサイクルやエコな生活を志向している方向けです。こういった容器に入れる人は何割かいますので、エコロジーを追求するなら、これもアリかなと思います。
まとめ
コーヒー豆の保存は良いに越したことはありません。しかしどの様に工夫しても、保存が効くのは焙煎してから一か月くらいです。
焙煎してから一か月以内に消費してしまうなら(豆の状態でですが)保存の違いはそれほど顕著に出ません。
あとは各人のライフスタイルに応じて、使いやすい保存容器を選べばよいと思います。
もし、コーヒー豆の保存を本気で考えなければならないとしたら、それは粉の状態で持って帰る場合です。
それこそ選択の余地はなく、しっかりと密閉して、冷凍保存する一手だと思います。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。